コロナ被害を抑えられたのは
本当に「日本モデル」の力か
「まさに日本モデルの力を示したと思います」
緊急事態宣言解除の会見で安倍晋三首相は、このように誇らしげに語った。
ご存知のように、日本政府の新型コロナ対応は諸外国に比べてかなりグダグダで、「スピード感もなくアナログだ」と、国内外からボロカスに叩かれてきた。にもかかわらず、欧米と比べて被害をここまで小さく抑え込めている。そんな「日本モデル」について、海外メディアからは「不可解」「日本の奇跡」など様々な声があがっている。
では、当事者の日本人としては、「日本モデル」の成功要因をどう分析しているのかというと、現場の医療従事者が頑張ってくれたのと、「8割減」という外出自粛を律儀に守った国民のお陰だ、という声が圧倒的に多い。
たとえば、ニュースキャスターの安藤優子氏も『直撃LIVE グッディ!』(フジテレビ系)の中で、こんなことをおっしゃっている。
「昨日、安倍総理は『日本モデル』という言葉をお使いになりましたけど、本当にみなさんが粛々と勤勉に頑張られるっていう、そのルールを守る律儀さが、それこそ日本モデルの真髄かなという風に思いました」
こうした話を聞くと、「その通り!それに加えて日本人の衛生的な生活様式がうまく機能をしたのだ」と誇らしげな気持ちになる人がたくさんいると思う。しかし、こういうことを言うのは大変心苦しいが、残念ながらそれは勘違いだ。いや、「日本、スゴイ」というナショナリズムが生み出した幻影、あるいは御都合主義的解釈と言った方がいいかもしれない。
新型コロナの重症患者が欧米と比べてケタ違いに少ないのは、なにも日本だけの特殊事情ではなく、東アジアの国々に共通する現象だからだ。
たとえば、人口100万人当たりの死者数をまとめている統計サイト「ワールドメーター」の5月19日時点の報告によると、やはりダントツに多いのが欧州だ。784人のベルギーや593人のスペインに、イタリア、英国、フランスが続いている。では、日本はどうかというと、死亡者が6人とケタ違いに少ない。