文在寅氏が韓国の大統領に当選した日、筆者の手元には既に校了し、発売直前となった著書の原稿があった。ほぼ全ての制作工程を終え、あとは印刷するだけだったのだが、編集者と相談の上、タイトルを「韓国人に生まれなくてよかった」とつけ変えた。
筆者は以前、ダイヤモンド・オンラインに「韓国は努力しても報われない社会で大変だ」という趣旨で寄稿したことがあったが、朝鮮日報などで取り上げられると多くの読者から、そのタイトルは別として内容については納得した、という反響が多く寄せられた。
しかし同時に、タイトルの『「韓国人に生まれなくて良かった」元駐韓大使が心底思う理由』については多くの意見があった。元大使が駐在した国のことを書いた本に、このような批判的なタイトルを付けるのは誠に不謹慎であるという、お叱りの言葉が多かった。確かに、この批判は当たっている。だが、私がこの本で言いたかったことは、決して韓国を誹謗中傷することではない。文在寅氏が大統領になったことで、政治の混乱は避けられず、韓国の人々を不幸にするだろうということだった。
残念ながら、筆者の当時の予感は的中してしまった。文在寅大統領の韓国は、北朝鮮に追従するばかりで韓国の安全保障をないがしろにしている。文政権の高官は、現在の韓国は平和だと主張しているが、実際は北朝鮮の動き次第で、いつでも崩壊する危うい平和である。
文大統領は、内政では国内融和を図るよりも対立をあおり、左派政権を永続化させ、保守派を徹底的に締め出そうとしている。
こうした文在寅政権の体質(著書「文在寅の謀略――すべて見抜いた」参照)についてはこれまで何度か寄稿している。そこで今回は、日常生活における韓国国民の不幸という側面に絞って、今の韓国社会を深掘りしてみたい。