子どもたちの顔を見て話しながら、次のような補足説明を思いついた。

「このお金を受け取って使うことには、何らやましいところはない。なぜなら、父ちゃんはこの40万円に対して、正確には分からないけれども、たぶん、2倍か3倍くらいの負担をするはずだからだ。負担の形は、将来の税金であるかもしれないし、インフレであるかもしれない」

「個々の家計の必要性に応じてお金を配るといった面倒なことをやるのは政府には無理だ。均等にスピーディーに配って、後から税金で取って調整するのは現実的で正しいやり方だ。所得制限を付けるべきだとか、必要な人に1人30万円配るべきなどと言っている人は賢くないね」

 日頃お金の使い道を考えることの少ない子どもたちは、やや困惑して考え込んだ。

 一方、父親(筆者)は、後から自分で付け加えた注釈が気になった。新型コロナウイルスが「中間層の没落」を加速することが分かったからだ。そして、それが自分自身の問題でもあることに気づいたのだ。

 筆者は、所得税率は上から2番目でフローの所得は相対的に大きいけれども、資産面ではいかなる定義の下にも「富裕層」には分類されない。ざっくり言って、「中間層」に属している。

コロナが中間層を没落させる理由は
アベノミクスにヒントがある

 少し時間を巻き戻す。

 アベノミクスが始まったとき、そして、当初の2〜3年間、「サラリーマンは生活が改善した実感がない」ということがしきりに言われた。

 これはもともとアベノミクスが、大規模な金融緩和でインフレ目標の達成を目指すプロセスで必然的に起こることだった。