5月25日に緊急事態宣言が解除されてから約1カ月がたった7月2日、東京都の新型コロナウイルス新規感染者数は再び増加し始め、7月7日時点で、6日連続で100人を超えている。再び緊急事態宣言の発令もささやかれ始めたが、実際に再発令となった場合、日本経済にはどのような影響が出るのだろうか。(名古屋商科大学ビジネススクール教授 原田 泰)
緊急事態宣言の再発令で経済はどうなるか
7月2日、東京都の新型コロナウイルスの新規感染者数が100人を超えた。その後も6日連続して100人を超えている。再び爆発的な感染拡大が起こるのかと不安になるが、全国で見ると、4月7日の非常事態宣言前は400人程度だったのに比べ、現在は200人程度だ。入院者数は3000人(以下いずれもストックの数)だったのが1000人、重症者数が100人程度だったのが30人と病院の体制にはやや余裕があるようである。
今後4月初旬のような状況になり、再度非常事態宣言が発せられ、経済活動を制限しなければならなくなると、その経済的影響はどの程度になるのだろうか。また、それを少しでも小さくする方法はないだろうか。
2度目の非常事態宣言の経済的影響
2度目の非常事態宣言の経済的影響は、最初の非常事態宣言が出た4月7日(5月25日に解除)からの経済状況の繰り返しになる。すなわち、4~6月のGDPの落ち込みの再現ということになる。4~6月のGDP統計が発表されるのは8月だが、エコノミストの予測平均では前期比年率23%減であった(日本経済研究センター「ESPフォーキャスト調査(2020年6月6日)」。23%減は年率で次の四半期には6.35%減少するという意味)。
非常事態宣言が再度発せられれば、これが7~9月期にも続くことになる。ただし、さらに23%減になるというのではなく、この低いレベルのGDPが7~9月期にも続くということである。