ドイツの高級車メーカーBMWは、電気自動車(EV)普及への対応における「柔軟性」の価値について大いに語っている。だが、新型コロナウイルス危機対応への柔軟性はあまり見せていない。BMWが5日公表した4-6月期決算は、営業損失が6億6600万ユーロ(約836億万円)となり、2008年の金融危機以来最悪の業績となった。営業赤字自体は驚くことではなかったが、赤字幅が投資家の予想を上回り、株価は午前の取引で3%下落した。新型コロナの流行に伴うロックダウン(都市封鎖)が実施されていた時、米自動車大手はその間そろって手元資金確保のための厳しい緊縮策を講じたが、BMWはそれほどコスト基盤を縮小しなかった。設備投資は先送りされ、上期は前年同期比32%減だったものの、事業コストはそれほど減少しなかった。ドイツでは「クルツアルバイト(時短勤務)」という、勤務時間が減少した労働者の給料を補助する制度が実施されていたことを考えると、これはちょっとした驚きだ。BMWは3月下旬、この制度に2万人の従業員を登録したことを明らかにした。
BMW、生産ラインは柔軟 コスト構造は硬直的
有料会員限定
あなたにおすすめ