このところのトルコリラ急落で、国境を越えて影響が波及する懸念が強まっている。次に懸念されるのはユーロだ。リラは今年に入り対ドルで19%近く下落し、このまま行けば2018年以来の大幅下落を記録する勢いだ。18年には25%余り下落した。対ユーロでは、年初来およそ20%安となっている。トルコ中央銀行は自国通貨の押し上げへ向け外貨準備高をほとんど使い果たし、借り入れた多額のドルを売却してリラを買い支えてきた。だがここ数週間、そうした試みは行き詰まっている。7月24日以降、リラは対ドルで6.6%下げ、中銀の切り札が底を突きつつあるとの臆測が広がった。リラに新たな圧力が掛かり、長期的な対外債務の返済能力を巡る警戒も高まっている。トルコの債権者には欧州の銀行も含まれる。リラ安はさらに、トルコ国内の輸入価格を押し上げ、欧州製品への需要を脅かす。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)で既に貿易は減少し、欧州連合(EU)の域内総生産も縮小している。