新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)による経済的打撃は、米国のミレニアル世代(1981~1996年生まれ)に特に顕著に表れているようだ。この世代は直近の金融危機のさなかに社会に出たが、その経験からまだ立ち直っていなかった。学生時代の負債を抱え、キャリアの階段でも出遅れている彼らは、2度目の打撃を受けたことで、上の世代ほどの資産を蓄えられない可能性がある。ジャクリーン・ジメネスさん(34)は、父親のプリント基板設計・加工会社を手伝って約4万5000ドル(約480万円)の年収を得ながら、自力でカリフォルニア州立大学フラトン校を卒業した。だが2008年の不況と就職が重なり、それに見合う仕事が見つからなかった。彼女は目標を引き下げたが、事務アシスタントやドラッグストア従業員のような仕事でさえ断られた。クレジットカード債務が積み上がる中、ブライダルサロンでウエディングドレスを売る仕事に就き、その経験を生かして高級百貨店ノードストロームの販売担当に採用された。そこで実績を積んでマネジャーに昇進し、ようやく人生が好転し始めたという。