ドナルド・トランプ米大統領は8日、給与税の納税を猶予し、失業給付を増額する大統領令に署名した。この数日前、ナンシー・ペロシ下院議長(民主、カリフォルニア州)は「予算権限は下院で始まる」と述べ、トランプ氏の行為は違憲だと警告した。もちろん、高校の公民の授業ではそのように教わっている。しかし、現実は異なっている。共和・民主両党の大統領が数十年間にわたって権限を議会から移譲させており、トランプ氏は特に財政分野でそれを積極的に行っている。実際のところ、財務の抑制と均衡の破壊はトランプ氏が残すことになる最大の負の遺産の1つかもしれない。先週末の大統領令発動よりも重要なのが、その前の週の最高裁判決だ。トランプ氏のメキシコ国境沿いの壁建設について、その合法性を巡る訴訟の間も建設を続けることが5対4の評決で認められた。同氏は壁の建設費についても最新の大統領令と同様、国家非常事態を宣言し、議会の承認を得ずに国防費を転用した。
トランプ氏が破壊する「抑制と均衡」
大統領令を乱発、予算めぐる議会との権力分立を脅かす
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