「人民には食事が何より大切」という中国の格言がある。世界最大の人口を抱える中国の食品価格上昇は再び注目を集めている。習近平国家主席は先週、国内の「衝撃的で悲惨な」食べ物の無駄をなくすよう、法案の検討も含めて呼び掛けた。指導者の掛け声で、多方面が一斉に動き出した。レストランは小盛りのメニューを提供し始め、オンライン上の大食い動画はプラットフォームから削除された。習氏は2013年の「空のプレート作戦」で豪華な宴会を非難した過去があるが、今回の呼び掛けには食の安全という側面もある。中国の食品価格は7月、前年同月比13.2%上昇した。豚肉価格が86%上昇したことが大きい。アフリカ豚コレラ(ASF)によって昨年、国内の養豚数は激減した。一方、新型コロナウイルス流行と大規模洪水は、恐らく食品供給の混乱に拍車をかけている。豚肉価格は今年に入りやや落ち着いたが、ここ数カ月は再び上昇に転じている。新型コロナで既に不釣り合いに大きな打撃を被っている貧困層が、ここに来てさらに苦難に見舞われる恐れがある。