今年はドルに逆風が吹いているが、一部の新興国通貨はそれ以上にきつい下げに見舞われており、回復の兆しも見えていない。ブラジルレアル、南アフリカランド、トルコリラは今年に入り、対ドルで約20%下落している。このままいけば、レアルとランドは2015年以来の大幅な下げを記録しそうだ。ロシアルーブルとメキシコペソも約15%安となっている。ドルが他の主要通貨に対して2年ぶり安値に沈んでいるにもかかわらず、新興国通貨の売りが膨らんでいる。貧しい国々における経済成長の失速や新型コロナウイルス感染増を受け、投資家は慎重姿勢を維持している。そうした国々では資金不足の医療システムや政府の財政ひっ迫など、既存の問題が新型コロナのパンデミック(世界的大流行)で一段と悪化した。資産運用会社は3月と4月に何十億ドルもの資金を新興国の株式・債券市場から引き揚げ、各国通貨が急落。資金の大半は戻らぬままだ。
底に沈む新興国通貨、コロナが財政危機に追い打ち
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