新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)は中国の消費者経済を二分した。高級品市場が力強く回復する一方、大衆向けブランドの成長回復は厳しい道のりとなっている。こうした傾向の背景として、中国ではホワイトカラー労働者の多くが自宅勤務に切り替えて危機を乗り越えることができ、パンデミックの間もアッパーミドルクラスの所得が比較的安定していたことがある。これに対し、中国社会科学院によると、サービス業や製造業で働く主に低所得者層のうち最大8000万人が今年に入りパンデミックの影響で失業した。自動車やスポーツウエア、酒類に至るまで、欧米や中国の高級品メーカーは他より早く売上高の成長回復を目にしている。中国小売売上高は1~7月に前年同期比9.9%減少したものの、富裕層向けブランドの多くは伸び続けた。