中国は、科学やテクノロジー分野におけるトップクラスの科学者を先進国から引き抜くため、世界600カ所に拠点を広げていることが、オーストラリアのシンクタンクによる調査で明らかになった。この調査には、米国務省が資金の一部を拠出している。米政府はこれまでも、中国が先進技術を不正に入手するため人材獲得プログラムを構築していると警鐘を鳴らしてきた。今回の調査では、これまでほとんど知られていなかった複雑な枠組みを通じて中国共産党が科学者を引き抜いている実態が浮き彫りにされた。米電気自動車(EV)メーカーのテスラやハーバード大学の人材も標的となっている。中国政府は、米国の科学研究を盗み取ろうとする組織的取り組みを否定しており、中国国営メディアは知的財産が窃取されているとの主張を米国が政治ツールとして利用していると報じている。米ワシントンの中国大使館は今のところコメント要請に応じていない。