昨年7月の参院選広島選挙区を巡る買収事件で、公職選挙法違反(買収、事前運動)の罪に問われた前法相の衆院議員河井克行被告(57)と、妻の参院議員案里被告(46)の初公判が25日、東京地裁(高橋康明裁判長)で開かれた。両被告はいずれも起訴内容を否認し無罪を主張。公判は100日以内の判決言い渡しを目指す「百日裁判」で審理されるが、12月まで計55回の公判が予定されており、判決の言い渡しは年明けになる見通しだ。(事件ジャーナリスト 戸田一法)

法廷で謝罪も真っ向否認

初公判のイラスト初公判に出廷した河井克行前法相(左)と妻の案里参院議員 イラスト:山下正人氏/時事

 起訴状によると、克行被告は昨年3~8月、案里被告を当選させる目的で、地元の首長や議員、後援会幹部、選挙運動員ら100人に投票の取りまとめを依頼して計約2900万円を配布。案里被告は克行被告と共謀し、このうち5人に計170万円を渡したとされる。

 初公判にはいずれも黒っぽいスーツにマスク姿で、数分の時間差をおいて入廷。人定質問で職業を尋ねられ、克行被告は「衆議院議員です」、案里被告は「参議院議員です」と答えたが、国会に出席するときに着ける議員バッジは襟に見えなかった。

 罪状認否で克行被告は、用意した紙を手に「国政に送り出していただいた多くの皆さまにご心配とご迷惑をお掛けし、深くおわび申し上げます」と謝罪。現金供与の事実は大筋で認めた上で「選挙運動を依頼する趣旨ではございません」と訴えた。