また、なぜ相手が不在なのに自宅などに勝手に置いてきたり、受け取りを拒否しているにもかかわらず、脅したりなだめすかしたりしてまで人目のつかない場所で押し付けなければいけなかったのか。

 そして何より、統一選で改選がなかった議員やそもそも政治家ではない後援会幹部や運動員に現金を渡さなければならなかったのか。

 後ろめたさがないのなら、疑惑が浮上した後、現金提供リストを保存していたパソコンのデータを、わざわざ業者に依頼してまで消去する必要もなかったはずだ。

 今回の事件では、被買収の対象が100人に上るが、実は検察側からしたら全員の起訴内容で有罪を取る必要はない。極論すれば、1人でも現金供与が買収と認定されれば被告側は有罪であり、格好よくはないが勝利なのだ。

 弁護人とすれば、両被告の「買収ではなく陣中見舞い・当選祝い」という主張よりも「違法な捜査、違法な刑事手続き」だったとして、控訴棄却を求める戦術が妥当にみえる。

 公判で事実関係の立証については淡々と進むとみられるが、争点がこのまま「現金供与の趣旨」であれば、検察側に圧倒的有利に見える。

 意外かもしれないが「有罪・無罪」のジャッジを分けるのは、弁護人が主張する「捜査や刑事手続きが適切だったかどうか」という“場外乱闘”になるかもしれない。