河井克行前法相と案里議員が公職選挙法違反の疑いで東京地検特捜部に逮捕された。他に黒川弘務元東京高検検事長の賭けマージャン問題、コロナ経済対策の不手際など、安倍政権は強烈な逆風にさらされている。そしてその道ずれとなるのが、秘書官や補佐官を出すなど、政権に深く食い込んできた経済産業省だ。自民党内でポスト安倍政権の動きが活発化するのと同時に、霞が関の勢力図も塗り変わろうとしている。(ジャーナリスト 横田由美子)
ターニングポイントとなった
6.16河井案里秘書有罪判決
第2波、第3波の懸念は消えないが、新型コロナウイルスの感染拡大にようやく落ち着きが見えてきた。
その一方、永田町では、ポスト安倍の時代を見据えた動きが活発化し始め、連動するように霞が関の勢力図も変わり始めている。
6月16日は、後から振り返った時、ひとつのターニングポイントになるかもしれない。
昨年7月の参議院選挙で初当選した河井案里議員の公設秘書が公職選挙法違反(買収)罪に問われていた裁判で、広島地裁の冨田敦史裁判長は、懲役1年6カ月、執行猶予5年の有罪判決を言い渡した。
判決によると、公設秘書は、案里議員の夫である河井克行前法相の政策秘書と共謀の上、車上運動員に違法な報酬を払ったとされており、量刑的にも連座制適用の対象となる。夫妻は、自民党に離党届こそ出したものの、議員辞職は否定している。
そして6月18日、東京地検特捜部は河井前法相と案里議員を、公職選挙法違反の買収の疑いで逮捕した。
夫妻の往生際の悪さにはあきれるばかりだが、河井前法相は「安倍総理を支える5人組」と呼ばれるほど政権中枢で存在感を発揮している。このような人物を重用し、法相にまで抜擢したことから、コロナ禍の終息がより鮮明に見えてきた瞬間に、安倍総理に対する批判が今以上に強く噴出することは誰の目にも明らかだ。