私が記事で言いたかったのは、「日本のアイドルが世界市場に打って出るのに限界がある。その理由は日本のアイドル市場の特徴にある」ということだ。

 英語のidolはもともと崇拝する対象のことだが、「アイドル」は崇拝対象ではない。ファンにとってアイドルは「応援するもの」である。

 完璧なルックスやスタイルで歌やダンスをこなすアイドルはいない。日本におけるアイドルとは、未成熟で透明感のあるルックスの少女が、愛すべき欠点や程よい下手加減を補おうと一生懸命になるものだ。ファンはそんなアイドルの一生懸命に「萌えて」応援するのである。

 そのため、ちょっとドジだったり、不器用だったり、少し知識が足りなかったりしたほうが好まれることが多い。「ポンコツ」ぶりが「愛嬌(あいきょう)」となり、それも含めて愛されるからである。だから、アイドルにとって「おバカ」は武器になりうる(でも、「おバカ」になるには、「馬鹿」ではつとまらない)。

 この「未成熟の一生懸命」が日本のアイドルの典型的なあり方であり、その一生懸命さを応援することがアイドルに求められる伝統的な形だと言っていいだろう。

モーニング娘。が
世界市場への先駆け

 そんな日本のアイドルが国際化した時期がある。きっかけは1990年代に起こった世界的な日本のポップカルチャーとサブカルチャーのブームである。

 欧米の若い女性を中心に原宿ファッションや渋谷ギャルファッションが注目を集め、日本のビジュアル系バンドや浜崎あゆみなどの音楽がJ-POPと称されてヨーロッパや東南アジアなどを中心に聞かれるようになった。その流れで、1990年代後半から大活躍していたモーニング娘。がヨーロッパを中心に注目された。