「市場変更するための準備は去年1月頃から進めており、たまたまコロナの時期と重なったというのが実情です。現在、コロナによって社会が混乱と不況に陥っており、予断を許さない状況ですが、一部上場の審査では、こうした状況下であっても成長を続けられる企業だと評価してもらえたのだと思います」(木村氏、以下同)

 一時はSNS事業で満身創痍(そうい)だったミクシィは、なぜ奇跡の復活を遂げることができたのだろうか。

モンストで日本一に返り咲き
その背景にあった緻密な分析

 海外SNS勢に後れを取り形勢不利だったミクシィにとって、復活の最大の原動力がモンストだったことは言うまでもない。

 モンストとはスマホ用のゲームアプリ。基本的な遊び方としては、自陣側のモンスター4体(自分やフレンドが操作)を敵モンスターに体当たりさせて倒すというものだ。スマホのスワイプ操作で的を絞り、敵に直接攻撃を当てるだけでなく、ビリヤードのように壁を利用して跳ね返りで敵にぶつけることなどもできる。ゲームを進めていく中で強いモンスターをゲットしたり、成長させることも可能だ。

 ここで注目すべきは、モンストの開発にいたるまでの緻密な「分析」だ。

「まず大前提として、私たちはゲーム屋でもSNS屋でもなく、コミュニケーション屋です。SNSのmixiの分析を通じて、当初から私たちは親しい友人や家族とコミュニケーションがとれるツールにこそニーズがあると確信を持っていました。その延長線上でゲームを作るとなったとき、友達とコミュニケーションをとるためには共通言語が必要だと考えました。その共通言語とは、パッと画面を見たときにどんなゲームなのかがすぐに分かり、画面を触ったらすぐに操作ができるくらい“シンプルで簡単な仕様”だと気付いたんです」

 その結果、たどりついたのが今のモンストの形だったという。

「当時の一般的なスマホゲームの仕様は、画面の上半分にキャラクターが映っていて、画面の下半分に操作パネルがあるというように2分割された構図でした。その理由はガラケー時代にポチポチとボタンを押して操作していた仕様の名残からです。そこで私はある日、社員に『遊び方や戦局を一目で分かってもらえるように、スマホ画面全体で操作ができるようなゲームの企画を考えてほしい』とお題を出しました。そのとき社員の一人が、ビリヤードのアイデアを出してくれて『それだ!』って思ったんです」

 2013年にモンストがリリースされるやたちまち話題となり、「App Store」や「Google Play」など数々の売り上げランキングで首位を記録。19年12月時点での世界累計利用者数は5300万人にも達し、台湾や香港など海外でも根強い人気を誇っている。