新型コロナウイルスで戦後最悪の不況となるなか、企業業績への影響が深刻化している。中小企業のみならず、ついに上場企業でも、全社員に退職勧奨を行ったり、売上高が前年比で97%減に陥る企業も出始めた。(東京経済東京支社情報部 井出豪彦)
コロナ収束後に
備えて大ナタ
戦後最悪の大恐慌の割に新型コロナウイルスの影響による倒産件数は思ったほど増えていない。
なかでも上場企業の倒産は8月17日現在、レナウンの1社だけで、そのレナウンにしても、業績不振は昨日や今日始まったことではなく、親会社の中国企業との間でも深刻な亀裂を抱えていた。取締役会が開けず自ら民事再生手続きを申し立てることができないため、子会社に債権者申し立てをさせたことでもわかる通り、コロナ以前に経営は操縦不能のダッチロール状態。コロナは最後のダメを押したにすぎない。
倒産が少ないのは政府による各種の資金繰り支援策が功を奏しているうえ、金融庁との阿吽(あうん)の呼吸で民間金融機関も貸し出し姿勢を緩和ポジションのままに据え置いているためだ。けっして各社の業績が持ちこたえているわけではない。企業は仮に売り上げがゼロでも融資が受けられていれば倒産しないものだ。