米画像処理半導体(GPU)大手エヌビディアのジェンスン・ファン最高経営責任者(CEO)は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)のさなかに、自宅キッチンから創業以来最大の大勝負に出る計画を練っていた。半導体業界では過去最大となる400億ドル(4兆2400億円)に上る買収案件だ。実現すれば、ファン氏は業界内で「最も注目のCEO」としての地位を確実に固めるだろう。エヌビディアは、ソフトバンクグループ(SBG)傘下の英半導体開発大手アーム・ホールディングスを買収することで、サーバーからパソコン(PC)、エレクトロニクス製品、スマートフォンといったコンピューティングの最重要分野をおさえることができる。同業インテルにとっては、最大級の脅威となりそうだ。ただ、買収実現には規制当局による承認が必要で、競合勢が買収を阻止しようと当局に提訴を働きかけるリスクもある。