今年1月の連載記事「外国人観光客をガッカリさせる、日本の『多すぎるビジネスホテル』」でも指摘させていただいたように、日本は「ビジネスホテル過剰供給」という深刻な問題があるからだ。

 たとえば、みずほ総合研究所の「2020年東京五輪開催年のホテル需給の試算」(2019年11月29日)の中にある、18年の客室増加数がわかりやすい。目下、GoTo効果で潤っているリゾートホテルは数千室しか増えておらず、旅館にいたっては減少している中で、ビジネスホテルだけが前年よりも4万室と、ドカンと増えているのだ。

「GoToトラベル」ではなく
構造的な問題である理由

 もちろん、ちょっと前まで右肩上がりでウハウハだったインバウンドバブルをあてにしたものであることは言うまでもないが、その皮算用がコロナで全部パアになってしまったのだ。

 需要を見越してドカンと増やしたものが、需要が消えればドカンと落ちるのは自然の摂理である。このジェットコースターのような急激なフリーフォールは、どんなに公金をバラまいても支えることはできない。せいぜい、落下スピードは緩められるくらいだ。

 つまり、現在の低価格帯のビジネスホテルの苦境は、「多すぎるビジネスホテル」という構造的な問題によって、数少ない出張族やリーズナブルな観光をしたい国内観光客をカニバリしている側面が強く、「GoTo恩恵がなくて不公平だ」というような話ではないのだ。

 ましてや「お得感の強い高級ホテルに客を取られた」というのもお門違いである。

 先ほどのビジネスホテル支配人が述べているように、GoToで潤っている高級ホテルは1泊3万〜5万円。これに35%の割引が適応されるので、利用者が払うのは1泊1万9500円〜3万2500円である。この価格帯で「お得」だと感じるような国内観光客は、夏休みや秋のレジャーシーズンに、1泊7000円〜5000円の低価格ホテルやビジネスホテルは利用しない。