ナチス・ドイツが敗北した1945年、国連創設国はサンフランシスコで開催した会合で大胆な決定を行った。世界の大半の国境を画定してきた「領土侵犯」を違法としたのだ。新たな国連憲章では、いかなる国家の領土保全や政治的独立に対しても、加盟国が脅しや武力を行使することを禁じた。それから数十年にわたり、現行の国境線の不可侵――どれだけ地域の民族構成に整合し歴史的な正義にかなっても――は、国際問題の原則として広く引き合いに出されてきた。米主導の連合国によるクウェートの独立回復(サダム・フセイン政権下のイラクは1990年、19番目の州として一方的に併合していた)は、戦後に打ち出された不可侵の原則が守られていることの証しとなった。
「領土侵害」の新時代 世界に危険な潮流
ロシア・中国・トルコなどが虎視眈々と狙う隣国領土
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