TikTok中国の動画配信企業であるTikTok(ティックトック)の扱いを巡って、米国と中国の対立が高まっている Photo:SOPA Images/gettyimages

TikTokの扱いを巡り
米国と中国が激しく対立

 最近、中国の動画配信企業であるTikTok(ティックトック)の扱いを巡って、米国と中国の対立が高まっている。その背景には、両国のIT分野における覇権国争いがある。もっと突き詰めると、米国の自由資本主義体制と、中国の国家資本主義体制の衝突が激化する構図が明らかになる。その争いの構図を冷静に見ると、今のところ、米国よりも中国の方が優勢に見える。

 今のところ、規制発動や企業への指揮統率力において、中国の一党独裁体制は民主主義国家である米国よりもスピーディーかつ徹底している。短期的に中国は米国との覇権争いを優位に進める可能性は否定できないだろう。

 米中のIT産業の競争力に関しても、アプリや人工知能(AI)などのソフトウェア開発面で中国は優位だ。中国は国内におけるグーグルやフェイスブックの利用を禁止している。その一方、米国で北京字節跳動科技(バイトダンス)が運営する動画投稿アプリ「TikTok」や、騰訊控股(テンセント)の対話アプリ「微信(ウィーチャット)」は急速に利用者を獲得した。逆に言えば、米国は中国企業のアプリ攻勢を許した。

 米国は中国の“国家資本主義”体制の勢いを食い止めるために、より強硬な姿勢で規制や制裁を発動する可能性がある。