「一見それほどでもない症状でも、実は放っておくとこわい症状も少なくないのです。最初は気にもとめないわずかな症状が、放っておくと、取り返しがつかない大病になることもあります」。そう話すのは、テレビでも人気の総合内科専門医・秋津壽男氏だ。体からのSOSサインに気づかず、後悔することになってしまった方をこれまでたくさん見てきたという。秋津医師の新刊『放っておくとこわい症状大全~早期発見しないと後悔する病気のサインだけ集めました』は、まさにこうした病気で後悔する人を少しでも減らしたいという想いから生まれたものだ。9月16日に発売となった本書の内容を抜粋するかたちで、自分や家族の健康チェックに役立つ情報を紹介していく。

飲んだ翌日に下痢をしてしまうのはなぜ?Photo: Adobe Stock

アルコールと油ものは「すい臓」の大敵

 悪いものを食べたり、ストレスで下痢をすることはよくあります。しかし、お酒を飲んだ翌日、きまって下痢になるときは、すい臓の不調が疑われます。下痢をしたとき、便器の水の表面に薄く油が浮いていませんか? だったら、間違いなくすい臓です。

 すい臓は胃の裏側にある臓器で、大きく2つの役割を担っています。ひとつは「油を分解する酵素を出す」こと。もうひとつはインスリンというホルモンを出して「体内の糖をコントロールする」働きです。

 下痢の症状は、このうち油を分解する働きにかかわります。すい臓の機能が低下して油を分解できないため、油ものが消化できずに下痢になるのです。こうした下痢は、2日くらいお酒を飲まず、油ものを控えれば、てきめんに治ります。

 もともとすい臓はアルコールに弱く、アルコールが原因で炎症を起こすこともある臓器です。そこに油ものまでとれば、すい臓が酷使され、ダブルパンチで膵臓がやられてしまいます。アルコールと油ものは、すい臓にとって最悪の組み合わせ。これはぜひ覚えておいてください。

(本原稿は、秋津壽男著『放っておくとこわい症状大全』からの抜粋です)

秋津壽男(あきつ・としお)

秋津医院院長
1954年和歌山県生まれ。1977年大阪大学工学部を卒業後、再び大学受験をし、和歌山県立医科大学医学部に入学。1986年に同大学を卒業後、循環器内科に入局。心臓カテーテル、ドップラー心エコー等を学ぶ。その後、東京労災病院等を経て、1998年に東京都品川区戸越銀座に秋津医院を開業。下町の一次医療を担う総合内科専門医として絶大な支持を集める。現在、「主治医が見つかる診療所」(テレビ東京系列)にレギュラー出演中。ベストセラーとなった『長生きするのはどっち?』『がんにならないのはどっち?』シリーズ(あさ出版)ほか、著書多数。新刊『放っておくとこわい症状大全』(ダイヤモンド社)が2020年9月16日に発売。