コーヒーやお酒などの嗜好品。それほど量が多くなく「適量」ならば、“体に良い”とされてきた。しかし、最近の研究論文では、むしろ少量でもリスクを指摘するものが増えている。(医療ジャーナリスト 木原洋美)
コーヒーは肝臓にいいが
毎日2杯で依存症の危険あり
実際のところ、嗜好品は体に良いのか悪いのか?
大人の三大嗜好品であるコーヒー、タバコ、アルコールについては、「新たな健康効果が判明」という朗報が流れる一方で、昨今は「いやいや、実は身体に悪いんだ」という愛好家にとって“悲しいニュース”も報じられる。
タバコについては、「百害あって一利なし」というのが、世界的かつ医学的な統一見解のようだが、コーヒーとアルコールはどうなのだろう。
内臓の中で唯一、解毒能力のある臓器「肝臓」との関係を中心に調べてみた。
まずはコーヒーについて。
全日本コーヒー協会のサイトには「コーヒーと健康」というコンテンツがあり、コーヒーを毎日飲むことは、心筋梗塞や狭心症などの心臓病、脳梗塞などの血管系の疾患につながる“脂肪肝”を抑制する効果があると紹介している。
脂肪肝には、アルコールに起因する「アルコール性脂肪肝」とアルコールをあまり飲まない人にも起きる「非アルコール性脂肪肝」の2種類があるが、コーヒーにはアルコールの量や肥満の有無にかかわらず「肝機能を改善し、脂肪肝の発生も抑制する効果がある」(三菱総合健診センター 2004年 調査)という。
加えて、国立がんセンターも、「コーヒーを1日3杯飲むと肝細胞がんのリスクが半分になる」というデータを発表しているそうで(2013年)、コーヒーは健康の中でも特に、肝機能に良い影響を及ぼすらしい。
同様のデータは、国立健康・栄養研究所所長の古野純典さんの調査でも明らかになっていると「日経スタイル」の記事にも掲載されている。