世界の新たな無秩序が深刻化する中で起きたアゼルバイジャンとアルメニアの紛争は、大国がみな他の優先課題に気を取られている間に中小規模の国が好機を利用する例を示している。アルメニア人にとって今回の軍事衝突は、過去のトルコとの紛争を思い起こさせる。特に第1次大戦中には大量虐殺のような暴力行為によって100万人以上のアルメニア人が惨殺された。一方1990年代には、アルメニア軍が係争地のナゴルノカラバフ地域とその周辺地域の支配を強化する中で、約70万人のアゼルバイジャン人が避難を強いられたり家を追われたりした。これは報復と生存をめぐる戦争であり、戦闘が長引く中で市民の虐殺や追放といった事態を想定せざるを得ない。
【オピニオン】ナゴルノ紛争を止められる国はあるか
アゼルバイジャンとアルメニアの戦火をロシアも西側諸国も傍観する――トルコはそう踏んでいる
有料会員限定
あなたにおすすめ