米中小企業は国内経済でここ数十年にわたり不利な立場に置かれてきたが、新型コロナウイルス危機ほどそうした企業を痛めつけた出来事はなかった。何千もの中小企業が廃業に追い込まれた一方、大企業は大部分が生き残り、一段と発展した企業すらある。危険なのは、結果として米国の経済力が一段と数少ない有力企業の手に委ねられ、国の繁栄をけん引してきたイノベーションや起業家精神が減退することだ。国勢調査局によると、1989年には、従業員数100人未満の企業で働く労働者が、米国の全企業で雇用される労働者の4割を占めていた。新たに公表されたデータでは、2018年時点でその割合は33%に低下している。現在さらに低下していることは、ほぼ確実だ。ソフトウエア・ビジネスサービス会社Womplyが集計した中小企業の決済データによると、今年1月時点で営業していた約5社のうち1社は、これまでに完全に決済が停止している。その大半は恒久的に閉鎖した可能性が高い。中小企業向けソーシャルネットワーキングを手掛けるAlignableの直近調査では、対象となった中小企業6325社のオーナーの42%が、10-12月期に倒産するリスクに直面していると述べた。
米イノベーション危機、中小企業がコロナで激減
国の繁栄をけん引してきたイノベーションや起業家精神が減退しかねない
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