バカンス明けの欧州で新型コロナウイルスの感染が再び広がってきた。

 フランスやスペインなどを中心に新規感染者数が1万人を超えるような日が続き、複数の主要都市で再度のロックダウンが検討され始めている。

 観光業の経済に占める割合が高い欧州におけるロックダウンは景気に大きなダメージを及ぼしそうだが、ECB(欧州中央銀行)がもう一つ頭を悩ませているのがユーロ高である。通貨高によってインフレ率上昇が抑制されているとのコメントが目立ち始め、追加緩和政策も俎上に載せ始めたようだ。

 コロナショックから市場が落ち着き始めた5月以降のユーロ/ドルは明らかに上昇傾向をたどっているが、ここで米国とドイツの10年債利回りに注目すれば、ドイツがほぼ横ばいなのに対し、米国10年債利回りは上昇していることが分かる。為替が金利差の影響を受けるのであれば、ユーロ/ドルは下落してもいいように思われるが、ここで重要なのが両国のインフレ期待である。