アベノミクスの「継承」だけでいいか
日本経済の「体力」は弱いまま
菅新政権は、7年8カ月あまり続いた「アベノミクス」の継承を基本路線にしている。
アベノミクスは、戦後2番目に長い景気拡大を実現し雇用も改善した。その意味では日本経済の「体調」は好転したが、他方、規制緩和など構造改革の遅れもあり、経済の「体力」は弱いままだった。
このことは潜在成長率の低迷(1%未満)に表れている。
2度の消費税増税が景気を後退させたとの批判があるが、見方を変えれば増税に耐えられるだけの体力が経済に付いてなかったということだろう。
輸出大企業などが好況だった一方で、中小・零細企業はその実感がなく、賃金も伸び悩むなど格差も拡大した。
実際のところ、コロナ禍以前からアベノミクスは行き詰まっていたともいえる。
新政権には目下のコロナ危機に対応しつつ、財政面でもいくつかの喫緊の課題を抱える。