大規模な資産購入プログラムの展開により、ECBのバランスシートは「南欧化」しているPhoto:Photonews/gettyimages

膨れ上がるECBの資産購入
PEPPの8日分はAPPの4月分に匹敵

 ECBが目下展開している資産購入プログラムに関し、4月の月間購入実績が公表されている。あまり大きく報じられていないのが意外なほど、その規模は大きいものであった。

 本論に入る前に現状を確認しておくと、ECBは現在、3本の資産購入プログラムを有している。それは(1)昨年11月以来、再稼働している拡大資産購入プログラム(APP)の月間200億ユーロ、(2)3月12日の政策理事会でAPPに付加された年内1200億ユーロの購入枠、そして(3)3月18日の臨時会合で緊急発表されたパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)による年内7500億ユーロの購入枠だ。

 コロナ対策は(2)と(3)であり「年内」に限り8700億ユーロの購入枠が設定されている状況にある。主砲は(3)、これをサポートする(1)と(2)という様相である。

 4月、ECBはAPPとして384.9億ユーロ購入した一方、PEPPとしては1033.7億ユーロも購入している(図表1参照)。

 後述する通り、5月5日、ドイツ憲法裁判所はAPPの主軸である国債購入プログラムである公的部門購入プログラム(PSPP)に違憲判断を与えて物議を醸した。

 だが、(3)の圧倒的な購入規模を問題視せずに(1)や(2)を違憲判断とするのは、率直に違和感がある。もちろん、金額ではなく購入に伴うロジックの問題なのだが、そう割り切れないほどPEPPの規模がAPPを凌駕している。月間で1000億ユーロを超える資産購入は、これまでのECBの歴史でも経験がないものだ。