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インキュベーションの虚と実

大学は起業家に必要なものが揃うスゴい土壌だ!
自分次第で新たな展開が実現する正しい大学の使い方

本荘修二 [新事業コンサルタント]
【第11回】 2012年9月24日
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TEDxKyotoの2人のリーダー。 左から、ジェイ・クラパーキ氏(立命館大学)、近藤淳也氏(はてな社長)

 こうして超交流会の縁は、TEDxコミュニティの発展にもつながった。近藤氏はじめ、TEDxKyotoスタッフには、藤田氏ほか超交流会コミュニティのメンバーが何人も参加している。会場は京都大学で、京大総長も登壇した。だが、もちろん京都大学関係者に閉じてはいない。ファウンダーのJay Klaphake (ジェイ・クラパーキ) 氏は立命館大学国際インスティテュート教学委員会准教授だ。こうして異なるリーダーが組み合わさることで、コミュニティはさらに発展力を増す。

 TEDxKyotoのコミュニティは年一回のイベントに限らずどんどん活動していくという。例えば、大学にフォーカスしたイベントを4、5月に開催を考えている。しかし、個別の大学に閉じず、京都を学園都市としてとらえている。オープンな発想で発展しようというビジョンは、超交流会とも共通している。

大学を活かす姿勢は
自由でフラット

 このように、大学のポテンシャルは計り知れず、自ら創意工夫して活用すれば無限に使い出がある。しかも、どういう展開になるか分からないのも面白い。

 だがここで考えてみたい。なぜ多摩大の柳生氏のように、大学を使い倒す人はまれなのか。なぜ京都大の超交流会のように、発展と増殖が続く集いはまれで、多くの同窓会は盛り上がらないのか。

 かつて、そして今も、大学というと孤高の人とか風変わりな研究者といったイメージがあるかもしれない。もちろん、マッド・プロフェッサーは貴重だが、今回紹介した例のように、“つながる”ことが大切だ。そして、失うものが少なくリスクが限られる環境ゆえ、何かトライするには格好の環境だ。

 もちろん、内容が乏しければ大学は使いようがない。しかし多くの場合は使う側の問題だ。インキュベートしてもらう待ちの姿勢では面白いことは起こらない。自らが行動することだ。そこから道を切り開くのだ。そういった姿勢の人には、大学という存在は起業やインキュベートの母なる大地、肥沃な土壌、宝庫と表現していいだろう。

 柳生氏や今村氏(超交流会実行委員長)をはじめ、超交流会のコア・メンバ—に共通しているのは、肩の力の抜けた姿勢とつながり力だ。柳生氏は、得をしようという気持ちを抑え、自然体で想いを伝え、それがよい展開につながっている。

 超交流会での今村氏は場を盛り上げようと騒がしいが、オフの場で超交流会の話をすると驚くほどエゴがない。オープンに広がるには、こうしたスタイルが必要なのだろう。こういう姿勢は大学の自由でフラットな雰囲気にも通じる。

 今回取り上げた事例以外にも、大学に縁が深い筆者ゆえ、早稲田大学、九州大学、八戸大学など紹介したくなるような例はたくさんある。それはまたの機会に譲るとし、みなさんには今回紹介した例にヒントや刺激を得ていただき、大学でためしに何か実験してみてはいかがだろうか。

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本荘修二

新事業を中心に、日米の大企業・ベンチャー・投資家等のアドバイザーを務める。多摩大学(MBA)客員教授。Net Service Ventures、500 Startups、Founder Institute、始動Next Innovator、福岡県他の起業家メンター。BCG東京、米CSC、CSK/セガ・グループ大川会長付、投資育成会社General Atlantic日本代表などを経て、現在に至る。「エコシステム・マーケティング」など著書多数。訳書に『ザッポス伝説』(ダイヤモンド社))、連載に「インキュベーションの虚と実」「垣根を超える力」などがある。


インキュベーションの虚と実

今、アメリカでは“スタートアップ”と呼ばれる、ベンチャー企業が次々と生まれている。なぜなら、そうした勢いある起業家たちを育てる土壌が整っており、インキュベーターも多く、なにより、チャレンジを支援する仕組みが存在するからだ。一方の日本はどうなのだろうか。日米のベンチャー界の環境の変化や最新のトレンドについて、25年にわたってベンチャー界に身を置いてきた本荘修二氏が解説する。また日本でベンチャーが育ちにくいと言われる背景を明らかにし、改善するための処方箋も提示する。

「インキュベーションの虚と実」

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