「バイデノミクス」の代償とはPhoto:Chip Somodevilla/gettyimages

 ジョー・バイデン氏は選挙戦で、新型コロナウイルスとドナルド・トランプ米大統領に的を絞り、自身の政策についてはあまり語らずに切り抜けようとしている。とりわけ経済政策について、それは言えることだ。フーバー研究所が18日発表した新たな調査によると、バイデン氏が提案する経済政策は、成長や雇用創出、家計所得に悪影響を及ぼす。

 バイデン氏は、同氏の経済政策の方が迅速な成長と多くの雇用を生むとする格付け会社ムーディーズの見方をよく引き合いに出す。ムーディーズに言及する際、まるでお墨付きを得たかのように「ウォール・ストリート」と言いたがるが、トランプ氏についてはウォール・ストリートにとらわれていると主張する。

 だが現在、金融大手に属するエコノミストの大半が、成長の主な原動力は消費者需要と財政支出とするケインズ経済学にとらわれていることは周知の事実だ。それはムーディーズにも確かに当てはまる。同社チーフエコノミストのマーク・ザンディ氏による試算は、われわれの見方によると、税率引き上げと規制がもたらす影響を過小評価している。これは個人攻撃ではなく、同氏の経済モデルに対する事実に基づく意見だ。

 バイデン氏が大統領選で勝利すれば「不況」になるとトランプ氏は言うが、われわれはそうなるとは予想していない。米国経済は大方のエコノミストの予想よりも速く、コロナ流行に伴う閉鎖措置から回復していることをデータは示している。民主党は現在の経済状況について数兆ドル規模の追加支出が必要な惨状にあるかのように描き出そうとするかもしれないが、バイデン氏は成長に向けて力強く勢いづいている経済を引き継ぐことになる。