ザッカーバーグ氏の政治傾斜、その舞台裏とはPhoto:Bloomberg/gettyimages

 マーク・ザッカーバーグ氏(36)はフェイスブックを世界屈指の有力企業へと導いてきた過去10年余り、政治には全く無関心であることを公言してはばからなかった。創業初期の顧問らは、米議員の動向について説明する際に、ザッカーバーグ氏が上の空にならないよう、相当腐心しなければならなかった。ザッカーバーグ氏自身も「政治を他人任せにできてよかった」と度々漏らしていたという。内情に詳しい関係筋が明らかにした。

 だが、もはや無関心ではなくなった。ザッカーバーグ氏はここにきて政治に深く足を踏み入れている。ドナルド・トランプ米大統領と夕食を共にし、大統領上級顧問のジャレッド・クシュナー氏とも定期的に連絡を取り合っている。また、人気動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」やアップルをはじめとする競合勢にも厳しい目を向けるよう、議員や当局者に働きかけている。

 欧米の反トラスト(独占禁止)当局による追及、プライバシー保護の不備や偽情報・陰謀説の拡散関与への批判――。ザッカーバーグ氏の政治傾斜は、こうした一連の圧力からフェイスブックを守るための取り組みでもある。フェイスブックはまた、中国の北京字節跳動科技(バイトダンス)傘下のTikTokなど、新たな競争上の脅威にさらされている。ソーシャルメディア業界に君臨しつづけるためには、有力政治家やメディア関係者、活動家との関係を構築することが不可欠とも言える。