配車サービス会社が期待していたのは、米国人が新車のにおいに魅了されにくくなることだった。自分の細菌以外は吸い込まないという環境が見直されるようになるとは、予想すらしていなかった。米国の自動車販売台数は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)初期に急減したが、その後は再び持ち直している。その一因は、4月の販売台数が年率換算で33%減少するなど販売の急激な落ち込みからの反動だが、都市部から自家用車が欠かせない地域への人口流出が続いていることも寄与している可能性が高い。米国勢調査局のデータによると、9月の自動車および部品ディーラーの売上高は前年同月比11%増加した。シティ・リサーチによると、サイト解析ツールのシミラーウェブのデータでは、Carvana(カーバナ)、TrueCar(トゥルーカー)、Cars.comなどのオンライン自動車マーケットプレイスのトラフィックが6月以降、前年比で2桁の伸びを示しており、10月第1週に入っても堅調さが続いている。これに加え、米自動車ディーラー最大手のオートネーションは21日、マイク・ジャクソン最高経営責任者(CEO)が「当社の史上最高」と称する四半期決算を発表した。ジャクソン氏は、低金利や供給低迷が続く中で需要が回復しただけでなく、「個人単位のモビリティへの大幅なシフト」も好調な業績に結びついたとし、今後数年間はこうした傾向が持続するとの予想を示した。