パワハラ
意外と起こりがちなパワハラ事例、その問題点とは? Photo:PIXTA

ミスが治らない部下への叱責、宴会での若手社員の余興、社員の配偶者を悪く言う……これらはパワハラになるかもしれない事例の一部です。弁護士の菊間千乃さんの『いまはそれアウトです!社会人のための身近なコンプライアンス入門』の一部を抜粋して、よく起こりがちなケースを基にその問題点を解説します。

同僚の前で部下を叱責!
これってパワハラ?

<事例1>
何度指摘してもミスの直らない部下。とうとう取引先を失う事態になり、みんなの前で「辞めちまえ!」と、どなってしまいました。これもパワハラになるのでしょうか。

パワハラと判断されて懲戒処分の可能性あり!
パワハラ①

「こいつは何度言ってもミスが直らん!」「ついに得意先を失ってしまった!」。このケースは、そんな怒りがこみあげてきて、つい強く叱責したくなったのでしょう。しかし、正当な指導のための発言であっても、行き過ぎればパワーハラスメント(パワハラ)になることがあります。

 一般にパワハラとは、(1)優越的な関係を背景とし、(2)業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動により、(3)労働者の就業環境が害されるものが該当すると考えられています。

 都道府県労働局における「いじめ・嫌がらせ」の相談件数が2018年に8万件を超えるなど、パワハラ対策が深刻な課題となっていることを受け、2019年、労働施策総合推進法が改正されました。これにより企業は、パワハラで就業環境が悪化するのを防ぐため、相談窓口の設置などの雇用管理上必要な措置を取ることとされました(同法30条の2。ただし中小事業主は、令和4年3月31日までは努力義務)。そのため、パワハラに該当する言動をすれば、社内規定に則り懲戒処分の対象になる可能性が高まっています。

 また、昨今は、退職した部下がパワハラをした上司や会社を相手に損害賠償請求の訴訟を起こすこともあります。

 ご相談のケースは、部下の教育が目的だったかもしれません。しかし、同僚の前でそんなふうに言われてしまった部下は、ひどく落ち込んで職場に来るのも嫌になってしまうかもしれません。別室で注意する、再発防止策を一緒に考えるなど、他の方法も考えられます。今回のような言動はパワハラとされるおそれがあり、今後は控えたほうがいいでしょう。