メジャーで「成功する投手」と「失速する投手」数値を見れば一発でわかる決定的な違いPhoto:Abdoul Sow/gettyimages

NPBで活躍する若手エースたちは、メジャーでも通用するのか?球速や三振と四球の割合といった数字を分析すると、「成功しやすいタイプ」と「苦戦が予想されるタイプ」が浮かび上がってきた。実際、山本由伸は前者、上沢直之は後者に分類される。メジャーで成功するのはどんな投手なのか?※本稿は、広尾 晃『野球の記録で話したい』の一部を抜粋・編集したものです。

日本人メジャー選手3人に見る
アメリカで活躍する条件

 2024年は、DeNAの今永昇太、オリックスの山本由伸、日本ハムの上沢直之と言う3人の投手がMLBに挑戦した。ともに2023年はNPBでローテーションを維持し、エース級の働きをした投手たちだ。

 しかしこの3人の2024年は、残酷な「格差」を生む結果となった。

 今永はカブスでシーズン通じてほぼローテを維持し、2けた勝利。ドジャースで大谷翔平の同僚となった山本はシーズン途中に故障で負傷者リスト(IL)に入ったが、復帰後はローテを維持し、ワールドシリーズでは快投を見せて、一級品の先発投手と言う評価を得た。

 しかし上沢はメジャー契約さえ勝ち取ることができず、キャンプ招待選手としてレイズのキャンプに参加するがメジャー昇格を果たせず、オプトアウト(契約破棄)条項を利用してレッドソックスに移籍。ここでメジャーに昇格したがわずか2試合で降格し、以後はマイナー暮らし。1年でNPBに復帰した。

 NPB的にはエース級の3投手だが、なぜシーズン成績でここまで大きな格差になったのか。そもそも、それ以前の問題として、なぜ上沢は今永や山本レベルの大型契約を結ぶことができなかったのか。