「ややこしい話をシンプルに説明する人」や「瞬時に自分の意見を出す人」を見ると、多くの人が「この人は頭がいい」と感心する。なぜ「頭のいい人」は、いつでも「スジの良い意見」や「わかりやすい説明」ができるのだろうか。
会員数100万人超の「スタディサプリ」で絶大な人気を誇るNo1現代文・小論文講師が、早く正確に文章を読み、シンプルでわかりやすい説明ができる頭の使い方を『対比思考──最もシンプルで万能な頭の使い方』にまとめた。学生から大人まで「読む・書く・話す」が一気にロジカルになる画期的な方法で、仕事や勉強に使える実践的なものだ。本稿では、特別に本書から一部を抜粋・編集して紹介する。

対比思考
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アートを「対比」で鑑賞する

 対比はいたるところにあります。とりわけ、人間が生み出した表現にはほぼ例外なく対比を見つけることができます。

 小説にも論説にも、美術、音楽、映画、建築、料理にも対比があり、それなしには表現は成り立たないと言えるほどです。

 一幅の絵画は、主要モチーフと背景との対比になっています。また、色彩のコントラスト(対比・対照)があるでしょう。

 さらに、その「一幅の絵画」は単に単独作品としてそこにあるのみならず、世間の常識と対峙しているのかもしれません。美術史上の先立つ作品をふまえて変形をこころみているのかもしれません。前作の自分との対峙・対比かもしれません。また、ポリシーの異なる流派へのアンチテーゼかもしれません。

 一つの美術作品を見るとき、そうした対比で思考することで見えてくるものがたくさんあります。

 シュールレアリスムの作家たちの多くは、先行するダダイズムの参加者でした。しかし、そこから吸収できることは吸収し、蝶がサナギから脱皮するようにダダとは異なる発展をしたのです。

 したがって、シュールレアリスムの特徴を理解するには、ダダとの対比において理解しなければ十分ではないでしょう。

 そしてそのダダも、もともと既成の芸術観を批判し、乗り越えようとする運動だったわけです。