バイデン米政権で財務長官に就任するとみられるジャネット・イエレン前連邦準備制度理事会(FRB)議長にとって、新型コロナウイルス禍で打撃を受けた経済を立て直すことが喫緊の課題となる。だが、足元では景気が勢いを失いつつあるほか、議会が追加刺激策で合意できるかも不透明で、イエレン氏は就任早々、厳しい状況に直面しそうだ。上院で指名が承認されれば、イエレン氏は追加の経済対策を実現する上で重要な役割を担うことになる。とりわけ、ジョー・バイデン次期大統領が来年1月20日に就任するまでに追加刺激策を巡る議会の交渉がまとまらない場合には、一段と切迫性が増すだろう。今夏にかけて始まった米景気の回復は、感染再拡大や雇用の伸び鈍化を受けて腰折れの兆しが出ている。また議会が今年に入り可決した支援策第1弾は大半が期限切れを迎えた。JPモルガン・チェースのエコノミストは先週、米経済が来年1-3月期(第1四半期)にマイナス成長に陥るとの予想を示している。