米国では今春のロックダウンが解除されて以降、多くのエコノミストの予想を上回るペースで労働需要が回復した。4月から10月の間に失業率は半分以下に低下し、失職者数が急上昇した水準から3分の2余り改善した。それでも、失業率のデータは労働市場の健全性を過大に示している。就業者と求職者の数は減少しているからだ。米国の労働人口は2月に比べ2.2%縮小している。これは労働者370万人の減少に相当する。多くのエコノミストは、今年の労働参加率の低下が恒久的なものと結論付けるのは時期尚早だとしている。高賃金の雇用機会がないため、失業者の多くが職探しをあきらめたり、学校へ戻ったり、あるいは前倒しで退職している。労働市場が引き締まれば、賃金上昇と労働時間の改善を受けて人々は労働市場に戻ってくる。新型コロナウイルスの感染拡大前まで、労働参加率は上昇していた。失業率は50年ぶりの低水準となり、直近の景気拡大では賃金も上昇した。