独特のリズムがある、
唯一無二の乗り味

 まずはその機能性がもたらす美点から紹介していこう。なんといっても特徴的なのはスクエアなスタイルがもたらす視認性の良さだ。オフローダーは、ただ不整地を走るだけではなく、ドライバーから、そして乗員から周囲が見渡しやすいことも大切。それは、ライン選びがしやすくなることで走破性につながるというメリットはもちろんだが、周囲を確認できることで乗員は安心感を得られるというプラス面がある。

 オフロードにおける走破性については不足なし。凹凸の大きなシーンでは、サスペンションを大きく伸ばし、片方を縮ませるリジッドサスペンション、そして優れたボディクリアランスによって、難なくクリア可能。その上で、フロント、センター、リアと3つのデファレンシャルをロックできる機構を加えており、まさに鬼に金棒といわんばかりの走破性を与えられていた。

 ただ、その分、オンロードにおける快適性は犠牲になっており、これはトレードオフゆえに、仕方ないところだ。オフロードで良く動くサスペンションは、オンロードでは大きな揺れを伴うもので、コーナリングや直進性まで含めて、乗用車派生のSUVと横並びになるのは分が悪い。また、ステアリングにはオフロードでの路面からのキックバックに対処するためにボール・ナットを採用。どうチューニングしてもオンセンター部分(ステアリングの動かしはじめ)に曖昧さが強く出てしまい、高級感を表現するには不足があった。

 大柄に見えるボディだが、1998年に登場したモデルでは全長4490mm(3ドアは4040mm)、全幅は1810mmであり、現在の日本のSUVにおいては標準、いや、コンパクトと表現されかねないようなサイズ感だ。コンパクトなボディは不整地走行において有利となるが、居住性は想像以上にタイト感があり、日常においてはウィークポイントと呼ばれても致し方ないところ(最終のヘリテージエディションでも全長4575mm、全幅1860mm)。

 もちろん、GクラスにもハイパフォーマンスバージョンであるAMGモデルがラインナップされた。しかし、高出力パワーユニットを搭載しようとも、このシャシーに組み合わせるには限界があり、特に90年代のAMGモデルでは乗用車系のような期待感には届いていない面が多い。まず、リジッドサスペンションに大径ホイールとの組み合わせではどうしてもバネ下重量が大きくなりすぎてドタバタ感が目立ち、そこに採用される低扁平率タイヤとのバランスも採り切れず、つまりは快適性が不足。クイックなフィーリングを作り上げているタイヤやサスペンションを採用したものの、オフローダーゆえの曖昧さを消し去ることはできず。当時、評価がなかなか難しいモデルだった。

 価格帯も当初は魅力となっていた。実用モデルからスタートしたこともあり、高級車を目指して進化を遂げたとはいえ、90年代後半のEクラスの同じパワーユニットを搭載したグレードと比較すると、3ドアならば+100万円程度の差。メルセデス・ベンツのスペシャルモデルとして捉えると、リーズナブル感があった。唯一無二といった乗り味は、個性の強いものだが、そこに独特のリズムがある。