メルセデス・ベンツ Gクラス

「SUVの名車を語る」Vol.11
Mercedes-Benz G-Class/メルセデス・ベンツ Gクラス

その出自は実用一辺倒なオフローダー

 オフローダー御三家ブランドという括りからは外れるものの、オフローダーを語るには欠かせない存在が、メルセデス・ベンツ Gクラスだ。メルセデス・ベンツの一員なのに、ブランドコンセプトとは逆といわんばかりの商用車的な一面と、オフローダーというキャラクター、堂々たる風貌から、稀有なポジショニングを作り上げている。また、商用車的な仕立て方からリーズナブルという面ももっていた。いつしかメルセデス・ベンツの表舞台へと引っ張り出されることになったが、旧態依然とした乗り味はイマドキではなかったし、AMGモデル含めてメルセデス・ベンツを名乗るには不足があったのも事実。しかし、人気は白熱するばかり。さすがに、ユーザーの期待に応える質感、最新の安全性や環境性能を整えねばならないと2018年にフルモデルチェンジを行ったばかりだ。この新型、型式こそW463と変わっていないが、イマドキかつメルセデス・ベンツ流のラグジュアリーを採り入れたモデルへと大胆に進化している。

 今回はあらためて旧世代モデルを振り返っていこう。今ではラグジュアリーモデルという捉えられ方をしているGクラスだが、そもそも、民生用ではなく、軍用や警備車両といった実用面に重きが置かれ開発された。ちなみに、他ブランドのオフローダーは第2次世界大戦を機に立ち上がったモデルが多いが、Gクラスことゲレンデヴァーゲン(当初の名称)は、それらよりも遅い1979年に登場している。