バラク・オバマ氏は民主党の大統領候補指名を確実にした2008年6月、未来の世代が現在を振り返って「海面水位の上昇ペースが鈍化し、地球の傷が癒え始めたのはこの時だった」と言うことを期待すると語った。その通りにはならなかった。オバマ政権は、気候変動の抑制を目指すパリ協定の交渉進展に寄与したが、この自主的約束による温室効果ガス排出量削減の効果は、最も強硬な環境保護主義者らが予想していた通り最小限のものだった。対策の効果を分析するクライメート・アクション・トラッカー(CAT)のサイトによると、パリ協定の基準を満たしたのは2カ国だけだった。モロッコとガンビアに拍手を送りたい。バイデン氏のチームが、国内外で最も緊急を要する優先政策の1つだと信じる環境保護の課題に取り組む際には、不都合な真実に直面することになる。民主党が、ジョージア州の2つの上院議席をめぐる決選投票で勝利し、上院の支配権を得たとしても、バイデン次期政権が、気候変動関連の重要法案を議会通過させるためには、ジョー・マンチン上院議員(民主、ウェストバージニア州選出)のような懐疑派の議員を説得して、議事進行妨害を回避するための決議を支持させる必要がある。上院議員の3分の2の賛成が必要となる協定の批准は、実現不可能であり、法的拘束力を持つ国際的な気候変動抑制の合意を確固たるものにすることはできない。
【オピニオン】気候問題への金融規制が経済損なう恐れ
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