ウォール街は過去10年にわたり、巨額の資金を石油産業につぎ込み、米国を世界有数の産油国へと変貌させたフラッキング(水圧破砕法を使ったシェールガス・石油開発)ブームをあおった。何年もさえないリターンが続き、ひどい目に遭った投資家の多くは現在、世界を化石燃料から引き離そうとするビジネスに群がっている。ピッチブックのデータ(12月上旬時点)によれば、世界のプライベートエクイティ(PE)投資会社は今年、石油・ガスよりもクリーンテクノロジーに数多く出資している。投資規模は平均的に小さいものの、件数では石油・ガスを史上初めて上回った。こうした投資動向の変化によって、再生可能エネルギーやそれに関連するテクノロジーを巡りさまざまなプロジェクトが生まれるとみられる。大勝ちする者が現れる一方で、シェールブームの時のように敗者も出てくるだろう。すでに資金フローの変化は世界のエネルギー業界の序列を再編しつつある。まだ売り上げのない電気自動車(EV)メーカーが市場でもてはやされる一方、石油・ガス生産会社は資金調達に奔走せざるを得なくなっている。
SPACブーム、クリーンエネルギー投資でも
シェールブームでひどい目に遭った投資家の多くは現在、世界を化石燃料から引き離そうとするビジネスに群がっている
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