今や周知のことだが、ウォール街のアナリストが2020年の予想を公表していた頃、その予想をまるごと覆すウイルスが中国・武漢で広がり始めていた。クレディ・スイスのチーフ米株ストラテジストを務めるジョナサン・ゴラブ氏はとりわけ不運だった。同氏は1月21日に予想を引き上げ、S&P500種株価指数の年末の目標値を3600とした。あの時点で新型コロナウイルスの脅威を軽く考えることは犯しやすい過ちであり、筆者も同じ過ちをした。だが、仮に同氏がその疫学的な重大さに気づき、経済が数世紀に一度の深刻な景気後退に陥ることを正しく理解したと想像してみよう。確実に言えるのは、同氏の強気のS&P500予想があまりにも慎重で、12月までに同氏の予想を100ポイント以上超えるほどS&P500が上昇すると結論づける者はいなかっただろうことだ。