高級ブランド企業は今年、新たな買収契約に動くより契約を撤回する傾向が強かった。だが、大手のバランスシート上でキャッシュが膨らむ一方、独立系ブランドには投資への重圧がかかるという状況の中で、この傾向は間もなく変化する可能性がある。新型コロナウイルス禍の中、ブランド業界における買収取引は当然ながら抑えられてきた。ただし、今月は例外だ。イタリアの高級衣料品ブランド、モンクレールが、評価額12億ユーロ(約1517億円)で、同じくイタリアのストリートウエアブランド「ストーンアイランド」を買収することを発表した。この買収がなければ2020年は、フランスの高級ブランドグループ、LVMHモエヘネシー・ルイ・ヴィトンが米高級宝飾品大手ティファニーを160億ドルで買収する計画から撤退しようと法的手段に訴え、結局は買収額を少し引き下げて和解したことの印象が強かった。