米ドルが来年、もしかするとそれ以降も下落すると予想する理由は多々あるが、中でもとりわけ重要なのは連邦準備制度理事会(FRB)の新たな政策スタンスだ。ドルは投資ポートフォリオで安全資産としての役割を担っていることから、2020年3月に一時急騰した。だがそれ以降、貿易加重平均した通貨バスケットに対して約12%下落している。新型コロナウイルスの感染拡大で、米国が大半の主要国より一段と大きな打撃を受けるに至ったためだ。ワクチンのおかげで世界経済が急回復しても、この流れは必ずしも反転しそうにない。むしろ、通常の世界的な回復で見られるように、資源や製品を輸出する国の通貨は対ドルで上昇を続ける公算が大きい。アジアの輸出国の一部は既に、自国通貨の上昇を抑えるためひそかに介入している。