過去には、米国で民主党の新政権が誕生すると、銀行株主は金融規制の強化を懸念したものだ。だが今、長期にわたる一段と大きな懸念となるのは、銀行事業そのものに波乱をもたらしかねない政府の取り組みかもしれない。政府機関で導入準備が進んでいる、もしくは民主党の政策担当者の間で議論されている措置は複数ある。いずれも金融サービスへのアクセス拡大を目指すもので、従来型の銀行は政府もしくはハイテク新興企業、あるいはその両方とのさらなる競争を強いられる可能性がある。郵政当局による銀行事業は興味をそそられる一例だ。郵便局が標準的な銀行サービスを提供するという概念は、民主党の複数の候補者が支持していたが、中にはジョー・バイデン次期大統領の政権移行作業で役割を担った関係者もいる。新しく強力な法的権限によって米郵政公社(USPS)に融資や預金受付のライセンスを付与するのは、政治的に複雑な課題かもしれない。だが、現金自動預払機(ATM)の設置や、決済促進、あるいは電子マネー送金サービスを郵便局にも拡大するのは、より実現性が高い。
バイデン政権、銀行業界に波乱もたらす可能性
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