40歳を目前にして会社を辞め、一生懸命生きることをやめた韓国人著者のエッセイが、日韓で累計40万部のベストセラーとなっている。『あやうく一生懸命生きるところだった』という本だ。2020年の「日本タイトルだけ大賞」で大賞を受賞したインパクトあるタイトルに加え、その内容にも「心が軽くなった」「読んで救われた」「人生のモヤモヤが晴れた」と共感・絶賛の声が相次いでいる。
そんなベストセラーエッセイの待望の続編『今日も言い訳しながら生きてます』が1月27日に発売となった。今作もまた、「人間関係は二の次でいい」「結婚は義務ではなく選択」「競争しないのも一つの選択肢」「友達は少ないに限るよ」など、肩から力が抜け、心が軽くなる金言であふれている。今回は、そんな本書の内容を抜粋して紹介していく。
結婚は、自分の幸せのためにするものだ
ユヴァル・ノア・ハラリの世界的ベストセラー『サピエンス全史』には、こういうくだりがある。
進化の観点での”成功”というのは生存と繁殖に限って判断されるものであり、個体の幸せや苦痛は考慮の対象ではないと。
すなわち、種の構成員が幸せであれ不幸であれ、数さえ多ければ成功した種とみなされるのだ。個人個人の幸せには関心がなく、ただ経済成長のためだけに生ませようとするのだ。
ははぁ、そう来るか。じゃあ僕も黙ってはいないぞ。
僕は種の成功には関心がない。子どもを生みたければ生めばいいし、経済が危険にさらされるという脅しにもゆるぎはしない。僕の幸せが第一だ。
非婚やディンクスに対して「自分勝手だ」という人がいるけれど、それのどこが自分勝手なのかと思う。人類のために、または国の経済のためにも生むべきだ、という人こそ間違えていると思う。
自分の幸せのためにするのが結婚であり、出産のはずだから。
誰かのためにしてはならないのだ。
自分を幸せにできるのは自分だけ
ああ生きろ、こう生きろと、僕らの周りには余計なお世話が溢れているけれど、正直、世間は個人の幸せになんか関心がない。だからこそ、自分を幸せにできるのは自分だけだ。
もちろん、「人の親になることは、人生でもっとも価値があり、幸せなことだ」という言葉を否定する気はまったくない。
僕も同感だ。多くの人が経済的な理由から結婚や出産をあきらめなくていい社会になってくれることを心から願っている。
だけど、すべての人類が結婚して親になれば幸せかというとそうではないと思う。親になってはいけない人が親になっているケースも実に多く見てきた。本人も苦しいかもしれないが、子どもはもっとつらく苦しくて悲しいから。
(本原稿は、ハ・ワン著、岡崎暢子訳『今日も言い訳しながら生きてます』の内容を抜粋・編集したものです)