40歳を目前にして会社を辞め、一生懸命生きることをやめた韓国人著者のエッセイが、日韓で累計40万部のベストセラーとなっている。『あやうく一生懸命生きるところだった』という本だ。2020年の「日本タイトルだけ大賞」で大賞を受賞したインパクトあるタイトルに加え、その内容にも「心が軽くなった」「読んで救われた」「人生のモヤモヤが晴れた」と共感・絶賛の声が相次いでいる。
そんなベストセラーエッセイの待望の続編『今日も言い訳しながら生きてます』が1月27日に発売となる。今作もまた、「人間関係は二の次でいい」「結婚は義務ではなく選択」「競争しないのも一つの選択肢」「友達は少ないに限るよ」など、肩から力が抜け、心が軽くなる金言であふれている。今回は、そんな本書の内容を抜粋して紹介していく。

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「お金こそが自分を自由にする」という勘違い

 ふと、『魂の退社』(東洋経済新報社刊)の著者、稲垣えみ子のことを思い出した。大手新聞社に通っていた彼女は、40歳のときに会社を辞める決心をする。そこから10年間準備をして50歳で退職した。

 彼女は自分が退職に踏み切れない一番の理由が”給料”であることを悟った。普通ならば、「じゃあ10年掛けて一生懸命お金を貯めて退職しよう」と考えるが、彼女は違っていた。それでは根本的な不安は解消されないと予見したのだ。

 そして、給料がないという”恐怖”に打ち勝てれば退社できると考え、給料と会社に対する依存度を徐々に低くしていくことで、ついに退職を成功させたのだ。

 彼女を自由にさせたのは、貯金でも特別な才能でもなく”料理”だった。市場で安く買ってきた食材で料理を作り、素朴な食卓を楽しむこと。一日3食、毎日毎日。そんな生き方を通して、人間が本当に食べて生きていくためには、それほど大きなお金は掛からないことに気づいたと言う。

 お金こそが自分を自由にしてくれるというのは錯覚だった。むしろ、お金は少なくても食べていけるという自信が、彼女を自由にした。結局、月の給料をほとんど使うことなく1ヵ月の生活が可能になり、こうすれば会社を辞めても生きていけると確信がもてたところで、会社を辞めた。

本当の自由とは”依存”から抜け出すこと

 彼女は今、自分が心からやりたいことをしながら生きている。お金がたくさんあるからではない。お金に対する恐怖に打ち勝った者だけが享受できる自由だ。

 こういうのが本当の”経済的自由”なのではないだろうか。

 僕らが不安な理由は、あまりにも何かに依存しすぎているからかもしれない。何かがないと生きていけないと思い込みすぎている状態なのだろう。

(本原稿は、ハ・ワン著、岡崎暢子訳『今日も言い訳しながら生きてます』の内容を抜粋・編集したものです)