初公判が開かれたのは8月25日。東京地裁で一番広い104号法廷で開かれた。案里被告は克行被告と共にスーツ姿で、傍聴席などに何度か頭を下げてから被告人席に座った。人定質問で職業を問われた案里被告は「参院議員です」とはっきりした口調で答えた。

 発言を許されると「(支援者の方々らに)大変ご迷惑をおかけし、大きな政治不信を招いたことをおわびします」と謝罪。その上で「夫と共謀した事実はありません」ときっぱり。終始、落ち着いた様子だった。

 公判の最大の争点は「現金の趣旨」だったが、夫妻はいずれも現金供与の事実を認めた上で「(参院選直前の)統一地方選に立候補していた方々への陣中見舞いや当選祝いだった」とし、投票や票の取りまとめの趣旨ではなかったと起訴内容を否認した。

 検察側は冒頭陳述で、克行被告が選挙運動の全体を取り仕切り、連座制の対象となる「総括主宰者」だったと指摘。克行被告は指摘を否定したが、案里被告は「夫が選挙運動を取り仕切っていたのは間違いない」と追認した。

 案里被告の弁護人は、現金を供与された地元議員について「検察官との間で『起訴しない』という約束で供述調書が作成された。任意性は認められない」と批判し、調書の信頼性を否定した。

不利な証言に「うふふ」

 9月3~5日には証人尋問で、案里被告の公設第1秘書の女性が出廷。案里被告の選挙運動について「取り仕切っていたのは克行氏。指示はすべて克行氏からだった」と検察側の主張通りに証言した。

 また、公示前に事務所スタッフが県内の有力者に個別に支援を依頼、ポスターを配布していたことを「明らかに集票依頼の意味があった」「心の中で『(事前運動に当たり)違法だ』と思っていた」と述べた。さらに案里被告の事務所を公示前から「選挙事務所と呼んでいた」と明らかにした。

 9日には会計担当者だったスタッフが出廷し「お金に関することは克行氏に決定権があった」「少額でも細かく報告を要求された」と証言。一方「案里氏から報告を求められたことはない」と選挙戦の実態を告白した。

 15日、克行被告は弁護人6人を全員解任。以降、公判は分離されることになった。

 16日からは現金を受け取ったとされる地元議員らの証人尋問が開始。元県議会議長は夫妻から計200万円を受け取ったことを認め「票を集めてほしいという意味だと思った」「領収書を求められなかったため、表に出せない裏金と思った」と証言した。