元法相の河井克行衆院議員と妻の案里参院議員の選挙違反、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)事業の汚職に絡んだ秋元司衆院議員の証人買収事件、安倍晋三前首相の後援会が「桜を見る会」前日に主催した夕食会で費用を補填(ほてん)していたとされる問題を立件した東京地検特捜部(以下、特捜)。年末になり、鶏卵生産大手グループ元代表による農相経験者に対する現金提供の疑惑も立件に向けた動きが加速し、報道も熱を帯びてきた。今年は久し振りに、特捜が存在感を示した1年だったといえる。(事件ジャーナリスト 戸田一法)
案里被告は年明けに判決
昨年7月の参院選を巡る選挙違反事件で、特捜が克行被告(公選法違反で起訴)と案里被告(同)を逮捕したのは6月18日。国会議員夫妻が揃って逮捕されるというのは憲政史上初のことだった。
起訴状によると、克行被告は昨年3~8月、案里被告への票の取りまとめなどを依頼し、地元の首長や地方議員、有力者100人に計2900万円余を渡した。案里被告は共謀し、うち5人に計170万円を渡したとされる。
事件が浮上したのは昨年10月だった。公設秘書が運動員らに違法報酬を支払った疑惑が週刊誌で報じられ、克行被告は法相を辞任。案里被告の秘書が今年3月、逮捕・起訴された。11月25日に最高裁が上告を棄却し、有罪が確定した。