カジノを含む統合型リゾート(IR)事業を巡る汚職事件を巡り、東京地検特捜部は多額の現金を提供して公判で虚偽の証言をするよう依頼したとして、衆院議員秋元司被告(48)=収賄罪で起訴=ら5人を組織犯罪処罰法違反(証人等買収)容疑で逮捕した。証人買収事件では贈賄側の2人に、別々のルートで秋元被告の支援者がそれぞれアプローチしていたとされるが、秋元被告は9日の拘留満期で起訴され、もう一方の事件で再逮捕されるとみられる。汚職・証人買収いずれの事件も関係者は起訴事実や逮捕容疑を認めており、完全否認を貫く秋元被告の「外堀は既に埋まった」とみる向きが支配的だ。(事件ジャーナリスト 戸田一法)
全面的に認めた贈賄側
8月26日。秋元被告に賄賂を渡したとして贈賄罪に問われた中国企業「500ドットコム」の元顧問2人、札幌市の「加森観光」前会長の初公判が東京地裁であり、いずれも起訴内容を認めた。
500社の元顧問は紺野昌彦被告(48)と仲里勝憲被告(48)。起訴状などによると、両被告はIR事業で便宜を図ってもらうため、(1)2017年9月1日、「講演料」名目で秋元被告の口座に200万円を振り込んだ、(2)同28日、議員会館事務所で300万円を提供――と直接「実弾」を撃ち込んだ。
ほかに、(3)同年12月27~29日、500社本社を訪問した際の旅費やマカオでのチップ代約185万円相当を負担、(4)18年2月10日~13日、秋元被告が北海道留寿都村に家族旅行した際の旅費約76万円を負担――という「接待」で取り込もうとしたとされる。