株式市場の動きは実体経済と同じではないとわれわれは常々思い知らされる。では、経済が好調にもかかわらず、市場が長い弱気相場に入ることはあり得るのか? 答えはイエス。ただし、そのようなことが起きた記録はほとんどない。米株の過去1年間のパフォーマンスは息をのむばかりだった。米経済は新型コロナウイルス危機が始まる以前より明らかに悪化した状況にある。何百万人もの米国人が今も職を失ったままだ。その中でも株価は昨春の暴落後すぐ反発し、過去最高値を更新する水準まで急伸。バリュエーションはドットコム・バブル前後や1929年の大暴落直前にしか経験したことがない高水準に達している。これは米株市場と米経済の結びつきがティッシュペーパーほどの薄さになり得ることを示す好例だ。コロナ収束後に景気が上向くとの予想が織り込まれているとの見方でさえ、根拠が薄弱に思われる。予想株価収益率(PER)は2021年収益見通しだけでなく、2022年の収益予想からみても相当割高だからだ。
米景気拡大でも株「弱気相場」あり得る
「今回は違う」のか
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